膀胱癌PDDについて

膀胱癌は筋層非浸潤癌と筋層浸潤癌に分類される。膀胱癌の多くが筋層非浸潤性膀胱癌であり、標準的な手術は経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)である。しかしながら、術後に高率に再発を繰り返すのが臨床的な問題となっている。

膀胱癌に対して光力学診断(PDD)を実施することで、腫瘍病変が赤色蛍光発光を示し病変を可視化することが出来る。さらには腫瘍病変可視化する事で、TURBTによる病変の完全切除が可能となり、術後の再発率を減少させる事ができる。

投与されたALA(5-アミノレブリン酸)は腫瘍細胞内に取り込まれ、いくつかの共通前駆体を経てミトコンドリア内でプロトポルフィリンIXに変換され、プロトポルフィリンIXに赤色光を照射すると赤色蛍光発光を示す。これがPDDの原理である。

膀胱癌に関するPDDの歴史は、1994年にドイツのKriegmair先生により初めて報告された。これ以降で、世界中でPDDが徐々に展開されてきた。

日本においては、2012年より、医師主導治験として筋層非浸潤性膀胱癌患者及びその疑いのある新鮮例並びに術後再発例を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相試験が行われ、その結果を受けて、企業治験によりアラグリオ®顆粒剤分包での第Ⅲ相試験が実施された。これらの試験結果より、アラグリオ®顆粒剤分包は2017年に「経尿道的膀胱腫瘍切除術時における筋層非浸潤性膀胱癌の可視化」での製造販売承認を取得し保険収載された。

治験の結果は、感度は、青色光源下(赤色蛍光)で79.6%(144/181検体)、白色光源下で54.1%(98/181検体)でした。青色光源下(赤色蛍光)でのみ検出できた腫瘍陽性25.4%(46/181検体)の割合は、白色光源下でのみ検出できた腫瘍陽性(0/181検体)の割合と比較して有意に高い結果が得られました(p<0.001、McNemar検定)。

PDDを実施する際の光感受性物質として、アラグリオ顆粒剤を内服する必要があり、2017年より保険診療で使用する事が可能となった。

PDDを実施するには、専用の光力学診断装置が必要であり、現時点では3つのメーカーの専用装置を臨床では使用することが出来る。

日本泌尿器科学会が編集・出版している膀胱癌診療ガイドライン2019年版では、診断および治療の2項目でクリニカルクエスチョンが設定され、PDDは推奨の強さ1、エビデンスの確実性Aと推奨されている。PDDは診断的意義のみならず、治療的意義も有しており、今後の普及や新たな展開が期待される。